魚町能楽保存会には、江戸時代後半の吉田藩主・大河内松平家に伝来したものを中心に、数多くの能・狂言面や装束が伝えられています。
このうち能・狂言面は近世初期の作品が中心で、近世の諸大名が収集したいわゆる大名面と比較すると、数こそ多くはありませんが、質的には多くの優品を含んでいます。小飛出(ことびで)、小惡見(こべしみ)、大天神、姥、平太、山姥など特に優れた作品だと言われています。金春流の面を写したものが多く見受けられ、大河内松平家の能が金春流であったことを物語っています。
また装束は大河内松平家伝来の能装束のほか、地元の鳥居家旧蔵の狂言装束などがあります。唐織、長絹、舞衣類には技術と内容の調和に最も優れていた江戸時代の享保年間の特徴をよく見せており、特に
「萌黄地柳に飛燕文様長絹」 の柳に飛び交う燕の軽やかな表現は、優麗さにあふれています。
このほか、鬘帯、腰帯などにも装束と同様に優れた作品が多く含まれています。
優れた内容を持ち、旧大名家などに伝来したこれら能・狂言面と装束が今なお伝えられているのは、貴重な例といえるでしょう。
魚町能狂言の面と装束説明
御神木
豊橋魚市の跡碑
鉄筋コンクリート造の安海稲荷神社拝殿
拝殿に掛かる正一位安海熊野宮の扁額
手水石