招牌由来記

 この招牌は本舗二代目竹若翁の自刻に係り天明年間創業の時から店舗の屋上高く掲げられたもので、書は当時の能書家の聞え高かった府中の町医者津島言洞の筆であります。
 広告宣伝の幼稚だった当時としては、この素朴な招牌が東海道の街並みに異彩を放ったものと見えて、上り下りの旅人が駕籠を停めて眺め入ったと大雅堂の旅日記にも記されてあります。爾来百六十余年数度の火災や今次の大戦にも幸いに難を免れて茲(ここ)に再び皆様にお目見得する次第であります

ケースに入った招牌 「御茶所」