薬師如来坐像説明
長命山薬師堂
薬師堂に掛かる長命山の扁額
本像は檜材による寄木造りで右手を屈臂して掌を開いて施無畏印を結び、薬壷を載せた手を膝上に置いた薬師如来である。 肉髻・螺髪を表し、袈裟は左肩を覆って右肩に少しかかる。
左足を外に組んで結跏趺坐する。 胎内背面と底板には正保2年(1645)、正徳3年(1713)、慶応2年(1866)の銘を持つ墨書があり、三度にわたり補修を受けたことがわかる。
像はこのような後世の補修のために、多少当初の姿を損なっているが、鎌倉時代中期の制作といわれている。
なお、本像は、もと伊勢安国寺の旧像で、天正年間(1573-92)安国寺炎上の時、千種常陸介忠治が猛火の中から日永村実蓮寺に運び出し、 境内に建てた小堂で代々内仏として信仰していたが、文化13年(1816)同志によって現在地に移したと云えられる。
四日市市教育委員会