内部川は、鈴鹿山脈に源を発し、四日市市南部を流れて鈴鹿川と合流する。旧名を三重川と言われていた(三滝川を三重川とする説もあるが、大日本地名辞典には、三重川は内部川たること明白なり、と書かれている)。
 「万葉集」第9巻に伊保麻呂の詠んだ歌、
   わが畳三重の河原の磯の裏に 斯くしもがなと鳴くかはづかも
があり、この三重の河原とは采女町辺りを詠んだものだといわれてる。
 「かはづ」 とは、河鹿蛙のことであり、往古は、河鹿蛙の鳴く清流だったことがうかがえる。その他に 「伊勢名所和歌集成」 に、旧三重川、内部川を詠んだ次のような和歌が見受けられ、鈴鹿の峰やこの地の風情を愛でた往時の旅人が偲ばれる。
   冠の峯のふぶきや寒からん 三重の河原に千鳥鳴くなり  貞之
   とまり村追分すぎて白浪の 内部川にもたどりきにけり  正訓
   杖突の坂をばいかでこえゆかん 内部川にて我ゑひにけり  忠吾  (ゑいにけり、とは酔ったの意)

東海道釆女の杖衝坂案内図と内部川案内

弥次喜多のキャラクターをあしらった東海道ルネッサンスの石碑

花壇が配された内部橋公園