ここは東海道
 「打興じてなを村おぶけ村にたどりつく。 此あたりも蛤の名物、旅人をみかけて、火鉢の灰を仰立て仰立て女 「おはいりなさいまアせ。諸白もおめしもございまアす。 おしたくなさりまアせ」・・・」 とは十返舎一九の東海道中膝栗毛の一節です。
 ここ朝日は東海道に沿ってできた町です。昔は多くの旅人がひっきりなしに往来していました。 「膝栗毛」 に登場する弥次さん、喜多さんもそのひとりでした。 道筋には、わらぶき茅ぶきの農家がならび、村はずれには見事な松の並木が見られました。
 桑名の宿から一里(約4㎞)の地点に位置する縄生村には一里塚もありました。 また、小向村には桑名や富田とならんで焼き蛤を名物として商う茶屋がありました。 火鉢に松かさを燃やして蛤を焼き、店先では大声で客を呼込んでいました。旅籠も数軒あり男達は、「往還かせぎ」 といって、駕籠かきや馬方などをしていました。
 今は、どこにでもある町並みですが、往時は、たいへんにぎやかな街道風景がありました。ちょっと立ち止まって、昔をしのんでみませんか。

近鉄名古屋線伊勢朝日駅

東海道について刻まれた瓦

瓦に刻まれた文章と絵が表示されている