古来部落の境には天王神社が祀られる事が多い。祭神は牛頭天王(スサノオ)を祭神とする祇園信仰の神社であり、京都八坂神社の祭礼が全国に広まった一つである。牛頭天王はインドでは武塔太子と呼ばれ、祇園精舎の守護神とされている。名前の由来は諸説あり古くはヘブライ語の 「コゼー」 が訛って 「牛頭」 になったという説もあるようだ。典型的な神仏合祀の一例である。
 スサノオノミコトは大変、力の強い暴れん坊の神様だったので、霊力が強く、これを祀れば疫病神を除いてくれる、という信仰から多くの村境に祀られたと思われる。山崎も入生田(小田原市)と、湯本村(箱根町)との村境にあり、湯本村の人達が村に疫病神が入ってこないようにと祀ったものである。
旧湯本村の氏神だった頃、明治26年に神社の石段を造った時の記録によると、世話人は湯本の湯場・神明町・仲町・三枚橋・山崎の代表が名を連ね、全村75人が工事費を寄付している。石段の数は118段あり、神社境内にある碑には世話人、発起人の名前が刻まれている。天王社の紋章は五ツ木爪(イツツモツコウ)で、キュウリを輪切りにすると、同じような文様になるためか、祭礼には必ずキュウリを上げる、
山崎では、昔は初物のキュウリを天王さんに上げてからでなければ、食べなかった。また、キュウリを切る時は輪切りにしないで、必ず斜めに切る、という風習があったようだ。
  (現地説明版より)

牛頭天王神社鳥居

牛頭天王神社石祠

牛頭天王

箱根登山鉄道下の参道

境内から下を望む