イトヨはトゲウオ科イトヨ属の魚で、背中に3本、腹部に1本のトゲがあります。イトヨには、川で生まれ海に下る降海型と、一生を淡水域で過ごす陸封型とがあります。大田原市では陸封型のみが見られ、湧水を中心に夏でも水温が20度以上にならない所に生息しています。成魚の体長は4~5㎝程度で、オスは春の産卵期になると水草などで巣を作り、ジグザグダンスと呼ばれる特異な求愛行動をすることが知られています。オランダ人動物行動学者のティンバーゲンはこの一連の行動を研究し、1973年にノーベル賞を受賞しました。
田谷川は湧水から続く小川です。一時イトヨの生息数が少なくなりましたが、生活雑排水の流入を防ぐなどして環境が回復した結果、生息数が安定しました。
田谷川のほか、市野沢のおかんじち川もイトヨ生息地として市の天然記念物になっています。近年の研究により、同じ市内のイトヨでも生息地ごとに遺伝的な違いがあることが分かってきたことから、生息地のイトヨを「持ち出さない」、よその生息地へ「持ち込まない」ことが大切です。
糸魚(イトヨ)生息地解説
イトヨ生息地の田谷川
湧水箇所
水が清く、まるで水が無いように見える
清流之碑
護りしは只六匹の糸魚なり 加茂の泉水清き流を 水清魚読月