王子子育地蔵尊縁起
王子の子育地蔵尊は、安山岩系の石を丸彫りした、像の高さ122㎝の石造地蔵菩薩立像です。釈迦如来が没してから弥勒菩薩が出現するまでを、仏教では無仏時代といいますが、地蔵菩薩は、この時代に人々を救済する菩薩と信じられてきました。
当地蔵尊は、昭和20年(1945)4月13日・14日の空襲によって火を浴び、像の表面が剥落しているため、造立した年代や造立者はわかりません。
昭和3年(1928)12月に出版された 「王子町誌」 によれば、子育地蔵尊は、同所に在った山本家の祖先が請願して室町時代の末期、天文元年(1532)に建立安置し、当時の堂宇は元禄2年(1689)に改築したものだと記されています。現存の像の造立年代を判断するには資料が不足していますが、同所で古くから地蔵尊が祀られていたことが推測されます。
また、その信仰については、「古来子育及商売繁盛の地蔵尊として信仰せられ、毎月4の日の縁日には参拝する者実におびただしく、縁日商人の露店を張るものもすこぶる多いので、その賑わい真に筆紙の及ぶところでない」
とあり、近代には子育地蔵として信仰を集めていたことが知られます。
(東京都北区教育委員会)
地蔵堂
王子子育地蔵尊
王子子育地蔵尊標柱