星宮神社は、古くから 「虚空蔵尊(こくぞうそん)」 として親しまれている戸張町の氏神です。本尊は一間社流造で、屋根は銅板瓦棒葺です。大きさは桁行84㎝、梁間69㎝ほどで小規模ながら、彫刻まで総けやき造りで、良材を使用したていねいな造りは重厚さを感じさせます。本殿全体に45点もの装飾彫刻がはめ込まれ、これらには奉納者の名前が刻まれています。左妻飾(向かって右側)の彫刻 「桐に鳳凰」 の裏面には製作年とみられる 「天保14年(1843)」 の墨書があり、また左胴羽目の彫刻 「高砂」 には鹿沼住の作者、石塚直吉吉明とその弟子石塚栄吉明儀の名前が刻まれています。
 これらの彫刻の多くは本殿建造後に取り付けられたものと考えられますが、建築と同時に製作する必要のある向拝の龍および木鼻の彫刻は作風が異なり、こちらは磯辺杢斎・隆信〔富田宿(現栃木市)住〕の作と考えられます。本殿の建造年代は、当初からの彫刻の製作年代や町内の古文書などから、寛政後半から文化初年(1804)頃と推定されます。星宮神社は、小祠でありながら、地元彫師の重厚精緻な彫刻で飾られらたものとして、数々の彫刻屋台も製作された近世後期の鹿沼地域を象徴する社殿ということができます。
(鹿沼市教育委員会)

鳥居に掛かる星宮神社の扁額

星宮神社説明

祭礼中の星宮神社拝殿