旧鹿沼の氏神である今宮神社の祭礼には、古式ゆたかな神輿の渡御とともに、「付け祭」 として屋台の繰込み、引回しがあります。
 鹿沼の初期の屋台は、「踊り屋台」 と呼ばれる簡単なつくりのもので、踊りなどの舞台として使われていました。
 寛政(1789~)に入ると付け祭は盛大となり、各町内は踊り、狂言を競いあいました。その頃から囃子方が屋台の中に入ったため、「踊り台」 が前面に据えられました。
 また、屋台そのものも黒漆塗りとなり、彩色彫刻で飾られ、彫刻屋台の祖形が出来上がりました。
 しかし、まだ付け祭の中心は踊りや狂言だったのですが、文政の改革(1827)で、「神事祭礼仏事は質素倹約に、在郷芝居は禁止」 という御触れが出され、以降その禁令は、天保の改革(1841)で強化されました。
 芝居が禁止されたことで、各町内の付け祭における 「意気」 と 「力」 の競い合いは、屋台を飾ることに移行していきました。これに日光山社寺の華麗な彫物の影響が加わり、全国でも珍しい全面白木彫刻のみに飾られた屋台が完成したのです。

 この施設は、国の重要無形民俗文化財 「鹿沼今宮神社祭のい屋台行事」 に使用される仲町彫刻屋台の収蔵と展示のため、また 「木工のまち鹿沼」 のシンボルとして、旧鹿沼郵便局(旧下野中央銀行鹿沼支店)跡地に建築され、平成5年(1993)10月に開館しました。
 建物は、宿場町としての歴史に合わせた純和風の外観に加えて、屋台の保存環境に配慮した自然換気のできる土蔵造りで、無人の施設ながら、中廊下を挟んで彫刻屋台を展示する屋台展示収蔵室と祭の概要を展示する小規模展示室があり、ガラス越しに屋台を見学することができます。 内部に展示している仲町屋台は、天保7年(1836)に建造された白木彫刻屋台で、鹿沼市の有形文化財(工芸品)にもしていされています。
(鹿沼市・鹿沼市教育委員会)

仲町屋台収蔵庫

白木彫刻屋台正面

白木彫刻屋台側面

仲町屋台公園碑

仲町屋台公園・屋台展示収蔵庫説明

鹿沼の秋まつりと屋台説明