木造千手観音菩薩立像 (鹿沼市指定有形文化財)
江戸時代前期の修験僧円空(1632-95)作。二つ割りした丸太の半円状の側に彫刻したもので、踏割り蓮華座に立つ左右対称に近い立像です。 微笑をたたえた表情は円空初期の特徴をよく表しています。化仏や脇手の細部にいたるまで、円空独特の表現力豊かな鉈彫の技法が冴えた像です。 背面中央に
「傳燈沙門高岳法師」 左側には 「天和ニ戌九月九日釋圓空刻之」 と墨書銘があり、天和2年(1682)に中禅寺立木観音を模して造られたと思われます。 これまで、微小なものを含めると、全国で約5000体の円空仏の存在が知られており、千手観音菩薩像は4体あるとされています。本像はそのうちうの1体として稀少なものです。
銅造阿弥陀三尊像 (栃木県指定有形文化財)
銅造の善光寺式阿弥陀三尊像です。中尊は両手先を除いて足柄まで一鋳造、両手先は別鋳で袖口にはめこんでいます。 中尊は通例のように、左手はやや臂を曲げて下方に伸ばし、掌を前に向けて刀印を結び、右手は腕を上方にあげて、同じく掌を前に向けて施無畏印を結んでいます。脇侍の二尊は、胸の前で両手を合わせており、華麗な立華文のある八角筒形宝冠をはじめとして、各所に細部まで行き届いた彫刻の冴えを見ることができます。 三尊の面相はまことに温雅で、鋳造技術にも優れ、仏師のこまやかな感性が行き届きた鎌倉時代の造像です。長野市善光寺の御開帳に合わせてこちらの像も姿を拝むことができます。
(鹿沼市教育委員会)
地蔵菩薩立像
丸太を二つ割にし、その半円状側に彫刻している。全高約156㎝。頭上仏や手の持物に、なた彫りとよばれる円空独特の彫刻の冴えを見せている。背面に墨書で
「傳燈沙門高岳法師 天和二戌(1682)九月九日釋圓空刻之」 とある。
この像は、円空が中禅寺の立木観音を模して日光で造ったもので、のち文化の頃(1804~)、広済寺に移された。
円空は江戸時代前期の遊行僧で、寛永9年(1632)に岐阜県で生まれ、山間へき地を遍歴し、12万体の造像を志した。元禄8年(1695)没。その個性の強い彫技は、現在彫刻に大きな影響を与えた。
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六地蔵尊
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木造千手観音菩薩立像碑
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