大井戸は昭和50年2月に発掘調査された。発掘された井戸は現地表面から約3m下の立川砂礫層を掘り込んで、底面は岩盤に達していた。南北に長い楕円形で、長軸1.8m、短軸1.5m、井筒の傾斜はきついところ(西側)で60度で、その他は概ね45度前後のところが多く、上部でゆるく、底部付近で比較的急な傾斜を呈していた。
 井戸の中心部にあたる「まなこ」部分の積み石は、大小さまざまで、大きいものは人頭大、小さいものでは径5㎝程度の河原石を三段にきれいに積み上げ、内径は30㎝でその深さは30㎝。積み石は整然と残されていたが、大小の河原石が土砂とともに流れ込んでいた。「まなこ」の内側の底面には、細かい砂の層が堆積していて、自噴の水圧の様子を知ることができた。井戸の外側には、井戸の縁部より15㎝程度高い、小礫を敷いた洗い場の施設が井筒を取り囲むように確認された。
 この施設遺構は水汲み、洗い場その他の便宜や井筒の保護及び、戻り水防止の目的を兼ねていたと思われる。また、神明社(水神様)が北に存在したことなどから、水汲みの通路は北側へと延びていたと考えられる。
 この大井戸付近は、市内でも最も古くから開かれたところで、南の台地からは旧石器時代の石器、また北側の低位台地からは町内最古の石器群も確認されている。鎌倉時代に大井氏が存在したのもこの周辺で、付近には荒墾、風田、現入などという地名も残り、往時を偲ばせてくれる。現在の井戸は地権者の御協力により原形に忠実に復元したものである。   ふじみ野市

大井弁天の森標識

大井戸解説

復元された大井戸