多摩川は、隅田川とともに東京の代表的な河川として都民に親しまれ、その周辺の地域や人々に多くの恩恵を与えてきました。昭和の初めころまで多摩川周辺地域はのどかな田園地帯であり、渡河手段として渡し船が使われておりました。
 近年、東京の多摩地域では、多摩ニュータウンの開発など市街化の進展が著しく、自動車交通量が急増しています。特に、立川、日野両市から下流の狛江市に至る約18㎞の多摩川中流部においては、現在の橋の平均間隔が、多摩川全域や類似の地域に比べても、著しく大きなものとなっているため多摩川を横断する道路の渋滞が、慢性的なものとなっております。
 このため東京都は、稲城大橋の架橋を多摩川中流部橋梁の著しい交通渋滞を改善し、また、多摩の望ましい発展を促すための施策の一つとして、東京都長期計画に位置付け、推進してきました。
 稲城大橋は、「新しい街を結ぶ21世紀の架け橋」 をモチーフに設計し、その意匠は、桁の美しい曲線と水平方向の伸びやかなラインを生かした、軽快でスレンダーなデザインとしました。広い歩道空間と左岸周辺の公園的整備は、「人と人とのふれあいと憩いの場」 を表現しています。
 稲城大橋の完成により、多摩川中流部地域の交通渋滞が緩和されるばかりでなく、多摩地域が相互の結びつきを強め、安全で快適な生活の場と、地域の歴史や文化を踏まえた新しい出会いの場となるよう願っています。
(平成7年4月 東京都)

稲城大橋(いなぎおおはし)橋標(親柱)

南詰下流側歩道部にある 「稲城大橋の碑」

多摩川堤防(たまリバー50キロ)上流側

左岸堤防から見た稲城大橋

稲城大橋上流側歩道部

稲城大橋南側の上下流歩道横断橋から見上げる

稲城大橋中央付近から見た多摩川上流域

稲城大橋下流側歩道部

稲城大橋中央付近から見た多摩川下流域