　戦国大名北条氏の4代目氏政の子・岩槻（埼玉県）城主太田源五郎が明叟和尚を招き、箱根湯本の早雲寺の子院として創建し、小田原城落城（1590）の際、消失したと伝わりますが、その後、徳川家康が2世希叟和尚を江戸神田に招き廣徳寺と称し再興しました。寛永12年（1635）に下谷に移り、加賀前田家をはじめ諸大名を檀家とする江戸屈指の大寺院となりました。しかし、関東大震災で寺域は消失し、その後の区画整理のため、大正14年（1925）からこの地に墓地を移し、別院としました。昭和46年には本坊が移転し、昭和53年に総合移転が完了しました。
　平成2年の開山明叟和尚400遠年忌を記念して、庫裏、位牌堂を建て替え、現在のたたずまいとなりました。
　墓地には、剣法の指南役として有名な柳生宗矩、三巌（十兵衛）父子の墓や将軍家茶道指南役で庭園築造にも事跡のあった小堀遠州の墓（茶人らしい笠付棘形の墓石）があります。三巌と遠州は沢庵禅師を通じて禅にも深い理解がありました。
　その他、文禄・慶長の役で活躍した立花宗茂や、江戸時代の詩人菊池五山、菊池秋峯、大内熊耳など、大名、学者、文人の墓所が数多くあります。
　ここは禅の修業場でもあります。寺域内では静寂に心がけてください。
（練馬区教育委員会）