水戸城旧城郭の中に位置するこの大シイは、戦国時代から自生していたと伝えられ、その樹齢は約400年と推定されている。
 二株のうち、一株は根回り4.1m、目通り3.3m、樹高18.6mで、もう一方は根回り6.8m、目通り4.3m、樹高20.0mである。
 一般にシイノキ(椎の木)と呼ばれる植物には二種類あり、ツブラジイとスダジイに分類され、ツブラジイは、葉が薄く小型で果実は球形で小さいのに対し、スダジイは、葉が大きく、葉質が厚く、果実は長いので区別される。ツブラジイは、主として関東南部以西四国、九州の内陸部に分布し、スダジイは、福島県、新潟県以南の主として沿岸地域に自生しているが、この大シイは二株いずれもスダジイである。
 茨城県のスダジイは、日本列島の北限に近い地域であることから、各地で天然記念物に指定されているが、一般には四方に枝を広げ、傘状になっている巨木がその対象である。それら指定物と比較した場合、樹高においてはこの大シイは優れているが、四方に枝を張るような樹冠にはなっていない。しかし、樹木の活力は現在でも旺盛であり、他の地域のものと比較して幹囲・樹高とも大きく、大木と言える。
 この大シイについては、平成3年に環境庁により刊行された「日本の巨樹・巨木林」にも掲載され、わが国の森林・樹木の象徴的存在として、かけがえのない価値を有する巨樹のひとつに位置づけられている。
 さらに、大シイは、水戸城旧城郭の中に存在することから、その樹齢とともに歴史的にも意義ある樹木であり、かつ古くから水戸市立第二中学校のシンボルとして伝えられてきた重要な樹木である。
  (水戸市教育委員会)

水戸二中の外壁に聳えるスダジイ

水戸城跡の大シイ解説

スダジイの二本の巨木