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ある日近所の人がだんごを五つ持ってきてくれた。
むかし筑摩の郡あたらしの里にものぐさ太郎という男が住んでいた。 村のおとなたちは太郎をあいてにしなかった。
子どもたちは太郎をからかった。
太郎は翌日、舞台で立っていたがくるひとは、逃げてしまい、日が暮れようとした時十七、八の娘が近づいてきた。
「和歌をどうにかしたい。」
「清水の舞台で待っているがよかろう。」
京のおなごの話をもちだしたが太郎の心は動かず、和歌の話をしたら、やっといくことにした。
地頭は 「このものぐさ太郎に毎日三合飯を食わせ酒を一度飲ませよ」 と言った。
「馬から降りて拾ってくれることぐらい雑作もねえことだ。おらと同じひどいものぐさだ。
三年の月日が流れ信濃国守二條大納言有季が京に上ることになり、ながふが割り当てられ、太郎がきまった。
四日がすぎて左衛門のじょう信頼が五・六十騎の家来を連れて通った。太郎は 「だんごを拾ってくれ」 と頼んだ。
だんごをねらってくる鳥や犬を棒で追い払っては、拾ってくれる人を待った。
だが、太郎がのこりの一つであそんでいたうちに、道へころがってしまった。
「おらに和歌を読んでくれ」
「思うなら といてもきませ わが宿は カラタチバナの むらさきのかど」
やがて二人はめでたくむすばれました。