嘉永2(1849)酉年九月吉辰

道標の右手に建つ筆塚

せんく王し道

道標は主に街道の分去れ(分岐点)に設置された。
中には、馬頭観音など石仏を流用したものもあり、大きさも大小さまざまで、旅の行き先方向がわかるように端的に文字で表されているのが普通である。
この道標は、正面に 「せんく王し(善光寺)道」 と文字を配し、上部の円枠内に善光寺の方角を示す右手に人差し指の図柄が陽刻されている。
石柱の高さは、176㎝あり、かなり大きく珍しい道標である。石材は塩崎越の滝之入地籍産出の石英安山岩が用いられている。右側面には 「嘉永二酉年九月吉辰」(1849) と造立年月が記されている。
当時建てられた位置は記録がなく定かではないが、現在地が最も立地条件にふさわしい場所である。
今回の見六橋架け替え工事中に川の中から発見され、現在に至るまでの経過の中で、かかわってきた地元の人々、建設工事関係者の方々の熱意と配慮により立派に出来上がったものである。
「遠くとも一度は詣れ善光寺」 全国各地から極楽往生を約束する信仰の寺善光寺を目指し、ひたすら旅を続けてきた人々にとっては、どんなにか慰めと元気を与えられた道しるべであったことか、当時が偲ばれる。
特異な形式といえる道標で、善光寺街道の道筋に残る遺物として貴重なものである。

嘉永3(1850)庚戌年秋季吉辰

岡田川の前に建つ見六の道標

指差し道標

見六の道標解説