閻魔堂とも呼ばれている田町十王堂。 十王とは人の死後、初七日から三周忌までの間に冥土の十人の王が十回の裁判をして、来世の行先を決めるという、十王信仰に由来するものです。 これは、中国の道教の影響によるもので、十王のうち怒った顔で有名な閻魔王の本当の姿が地蔵菩薩であることから、その信仰が盛んになるにつれて、閻魔王が十王の中心になったといわれています。 生前に十王にお参りすると、死後の裁判のとき手心を加えてくれるとされ、信仰は人々の間に広まり江戸時代は各村落に十王堂が設けられていました。  ~中略~  明治初年、新政府の廃仏棄釈政策で檀家のない十王堂はすべて廃されました。 そのころ田町の堂は、火災にみまわれましたが、諸像は運び出されて無事でした。  ~中略~  地獄の沙汰も金次第といわれますが、人々にとって、来世で地獄に落されることは最大の恐怖だったのです。 田町十王堂は、近隣の十王堂が廃されたことから多くの参詣客を集め、当地でもっとも人出の多い祭りといわれました。 また十王堂は遊廓の少女達の教育の場としても使われ、出浦氏の墓地にあったお堂を利用して祀られたと考えられています。

田町十王堂

御堂に掛かる十王堂の扁額

田町十王堂(閻魔堂)解説