　岩の上には、仁安3戌子年秋建立の五輪塔があり、「一煎一服一期終即今端的雲脚泡」の14文字が刻まれてあります。
　伝説では、西行法師東遊のとき、この泉の畔で休憩されたところ、茶店の娘が西行に恋をし、西行の発った後に飲み残しの茶の泡を飲むと不思議にも懐妊し、男の子を出産しました。
　その後、西行法師が関東からの帰途、またこの茶店で休憩したとき、娘より事の一部始終をいた法師は、児を熟視して「今一滴の泡変じてこれ児をなる、もし我が子ならば元の泡に帰れ」　と祈り
　水上は　清き流れの醒井に　浮世の垢をすすぎてやみん
と詠むと、児は忽ち消えて、元の泡になりました。西行は実に我が子なりと、この所に石塔を建てたということです。
　今もこの辺の小字名を児醒井といいます。