江戸時代、浮世絵の世界で名を馳せた人物に安藤広重(1797-1857)がいました。その作風は、情緒性を高め静の中に動を表現する独特の手法で風景画に新境地を開きました。代表作に「東海道五拾三次(全五十五枚)」のほか、この「木曽海道六拾九次(全七十一枚)」があり、御嶽宿では当時の庶民の旅で多く利用された「木賃宿」を中心に、囲炉裏を囲んだ旅人たちの和やかな会話が聞こえてきそうな様子を見事に描写しています。そして、作品のモデルとして選んだ場所がこの辺りだといわれています。
 広重の作品の中に「木賃宿」が登場する例は非常に珍しく、軒下にいる二羽の鶏もまた、作品に描かれることはごく稀です。
 (御嵩町)

安藤広重「木曽海道六拾九次之内御嶽」モデルの地説明

十本木茶屋跡