馬塚と犬塚

馬塚と犬塚説明

 むかし信濃国の桔梗が原に八重羽のきじという化け鳥がいた。
 嘴(くちばし)は槍のようにとがり、羽根は刃のように鋭く、羽風にあたると災いが起きるといい、里人や旅人のうちで命を奪われる人が多かった。
 困った鎌倉幕府は根津甚平に化け鳥退治を命じた。甚平は馬に乗り、犬と鷹を連れ、多くの家臣と背子を引き連れてきじを追った。
 きじは羽音高く飛び立って西の空に姿を消したが、数日ののちにこの坂に追い詰めた。しかし、馬はここで倒れ、犬と鷹はなおも追い続けたが、犬は日吉(現瑞浪市)で力尽きてしまった。そこで里人はこの坂に馬と犬の亡骸を葬ったという。
 (岐阜県)