寺院や墓地の入口に置かれる石仏がこの六地蔵であり、ここでは南へ100m程参道を入った所に大林寺(現中洗井)が寛永10年(1633)に創立しています。この石幢は大林寺の入口として寺の創立24年後、明暦3年(1657)に造立されています。中山道から寺への分岐点に立てられたのは、その入口としての役割と共に、当時しばしば見舞われていた水害を仏にすがって避けることと、極楽往生を願うものでした。その上中山道を行き交う旅人が道中の安全を祈り、心の安らぎを得て行く為でもありました。
地蔵菩薩は古くから多くの庶民に親しまれ、広く信仰されている仏像であります。釈迦入仏後、無仏の間この世に現われて衆生を救済する菩薩とされ、常に六道を巡って衆生を救い極楽に行けるよう力を貸してくれると信じられていました。更に六ツの分身を考えて六地蔵としての信仰が平安末期に始まったといわれています。石幢は六地蔵信仰と結びつき龕部(がんぶ)に六地蔵を彫るものが多く、室町末期から普及していますが、この地域では数少ないものの一つです。
(坂本地区文化遺産保存会)
六地蔵石幢
六地蔵石幢
六地蔵石幢説明
南無阿弥陀仏名号碑<宝永6年(1709)>
石幢に刻まれた六地蔵<明暦3年(1657)>