小林家住宅主屋は、江戸時代末期頃に旅籠(宿屋)として建てられました。発見された棟札から、穀屋(古久屋)吉右衛門が 「子三月吉日」 に建てたことがわかります。この 「子」 の年がいつかは不明ですが、文政10年(1827)に桶川宿に大火があったこと、また文久元年(1861)皇女和宮の下向時の割書帳には既に吉右衛門の名が記されていることなどから、文政11年(1828)、天保11年(1840)、嘉永5年(1852)のいずれかの 「子」 の年と考えられています。
 その後の当主となった小林家は材木商を営み、それに伴い大きく改修されましたが、外観は当時の姿を留めています。旅籠当時の間取りは、図面に残っているのみですが、2階は中廊下式になっており、旅籠当時の部屋割りの名残りと思われます。
 構造の要となっているのは、二間半の幅で2本建てられた大黒柱です。屋根を支える小屋組は和小屋構造といわれる伝統的なもので、太く丈夫な部材を使用しています。建物正面の2階には6間にわたって出窓を出し、格子戸をはめ込んでいます。宿場町当時の旅籠の佇まいを今に伝える貴重な建造物です。
 (桶川市教育委員会)

小林家住宅説明

小林家住宅