この建物は 「旧安中藩郡奉行役宅」 で、幕末から明治初年にかけて猪狩幾右衛門懐忠(やすただ)が安中藩の郡奉行として住んでいました。
郡奉行とは安中藩の民政をつかさどる役職で、安中藩には3人の郡奉行とその配下に4人の代官がいて、年貢の割り当てから徴収、お触れの通達、領内の治安・裁判などの仕事をしていました。
この度、猪狩芳子氏から安中市へ建物が寄贈されたのを機会に、安中市の重要文化財に指定しました。
復元に際しては、都市計画道路を避けるため約6m南へ移転し、現存の平面図と建物の調査結果を参考に、平成5、6年度に復元しました。
母屋は、県内では珍しい曲がり屋形式で、上段の間、土間、式台付きの玄関、茅葺き屋根、武者窓、砂ずりの壁など、いずれも素朴で重厚な地方武家屋敷の姿をとどめています。
この役宅は、安中城址の南西の部分に位地しており、この役宅の西には 「旧安中藩武家長屋」 や旧安中城西門枡形、役宅の長屋門の北には大名小路・袋小路や藩士の学校である造士館跡及び安中藩会所跡があります。
先に復元した 「旧安中藩武家長屋」 とともに、この 「旧安中藩郡奉行役宅」 が永く後世に伝えられ、安中の歴史を知る一助になれば幸いです。
(安中市教育委員会)
安中市指定重要文化財の旧安中藩郡奉行役宅
長屋門
母屋
旧安中藩郡奉行役宅(旧猪狩家)説明
旧安中藩郡奉行役宅近くの立派な塀に囲まれた旧家